ムクドリの塒




  街のあちこちからムクドリの声が響いてくる。
夕刻、勤めを終えて家路につく人、夕食の買い物に出かける人で歩道が混む時間だ。
昼間どこでどう過ごしていたのかは不明だが、ただならない数のムクドリが集結する。
あるいはマンション屋上のアンテナに、あるいは鉄塔に。
高いところでさんざん鳴き交わす。

 やがて日が傾いて
街のネオンや街灯が浮き立つ頃、
彼らは駅前の、数本の街路樹にやってくる。
  銀河のように群れが流れ、
 一斉に一本のクスノキに降り注ぐ。
 この光景は何度見ても圧巻だ。

 足を止めて見入る人も少なくない。
「なんだか怖いね」「何の鳥?」の会話は
降り注ぐムクドリの喧騒にかき消されてしまう。   

写真撮影日 2017.09.26
場所 横浜市鶴見区
撮影 黒田清恵